小出兼久の常盤坐から世界を読む

Vol.131    「誰もがモンサントを嫌うのはなぜなのか?」


家はマッシュルームや白い光線銃のように地面の上に高床式で建てられ、その部屋は車輪のスポークのように放射状に広がっている。これは、モンサントがM.I.Tと共同で作成したプロトタイプのモジュラーハウス「未来の家」で、1957年のことであった。ベビーブームに沸くさなかのアメリカの住宅危機を解決するためとされていた。その家が当時のモンサントの製品の一つであるプラスチックでできていたことは、偶然ではない。

※M.I.T:マサチューセッツ工科大学。

「彼らは、この家の早期の区画をレビットタウン※のように想像していた」と、M.I.Tの博物館で建築とデザインのキュレーターを務めるゲーリー・ヴァン・ザンテは言う。

※レビットタウンとは郊外の父と呼ばれる不動産開発業者で建築家のウィリアム・レビットが兄弟で、第二次大戦後に建設したニューヨーク州ロングアイランドにある村である。2000年の人口は約53000人。ニュージャージー州、プエルトリコ州、ペンシルバニア州にもある。1万ドル以下の格安の家をベルトコンベアー式に多数(1日で36戸)短期のうちに創り上げて共同体を作った。主に復員兵向けのもので、彼ら家族が全米で建設した住宅は最終的に14万戸にのぼる。レビットは、人々に手ごろな価格でアメリカンドリームを実現させてくれたと評されるが、同時に、これが、米国に核家族化や郊外の画一化などをもたらしたという批判もある。

ウォルト・ディズニーが新しいディズニーランドで展示としてこの家を選ぶことがなければ、決して起こらなかったことだ。10年後に解体されるまで、そのモンサントという化学の巨人による創造物は、地球上で最もハッピーな場所に平和に建っており、そこでは何百万人もの人々がそれを見て驚いていた。

もし、モンサントのポッドハウスが今日そこに建てられていたのなら、ここまで幸せな家ではなかったであろうと言っても、過言ではない。

過去10年の間に、モンサントはポップカルチャーのブギーマン(怪物)となり悪の企業の代表的な顔なっているモンサント社とその製品・遺伝子組換え作物GMO)の種子は環境活動家から「コルベール報告書」まで、すべての人たちによるドキュメンタリー(「フォークス・オーバー・ナイフ」と「GMO OMG」)や世界的な抗議、攻撃の対象となっている。フェイスブックや他のソーシャルメディアメメス(memesここには話題に特化したブログがある #monsantoevilのようなハッシュタグに満ちている そして、配管業者からあなたの母親まで、誰もがこの会社には一家言持っているようだ

※コルベール報告書とは米国の深夜にやるテレビ番組。社会や政治などを風刺し、エミー賞など数々の賞を受賞。

昨年、モンサントクライメート(気候)データセンターを10億ドルで買収したがその会社の最高経営責任者(CEOデビッド・フリードバーグは、自分売却決定を正当化することを懸命に試みた(まるで金銭が目的ではなかったとでもいうように!)フリードバーグニューヨーカーに彼の父親でさえこの買収不名誉だと言ったと伝えた。「父の最初の反応は、『モンサント? 世界で最も悪名高い会社じゃないか お前は世界をより良いものにしようとしていると、私は思っていたんだがね?』」(フリードバーグはまた、彼の会社の新しいオーナーとしての適性が、モンサントにはあると彼が思った論理的根拠を明らかにするために、会社のスタッフ全員に手紙を書くように強いられた。)つまり、モンサントに広報活動上の問題があるということはマーケティングコミュニケーションの学位を取得せずとも(誰の目にも)明らかであった

モンサントはどうしてこうなったのか アメリカの未来を創る革新的な会社か深夜のパンチライン(深夜番組のオチという立場にまで、モンサントはどのようにして転がり落ちたのか それについて批評家はフランケンフ生み出すという、モンサントが遺伝子組み換え作物(GMO果たしている役割が悪いのだろうと指摘するが、モンサント以外にも遺伝子組み換え作物を生産している会社はあるモンサントは不名誉な環境記録を持っているが、多くの企業もまた、そうであるさらには、ゼネラル・モーターズのような他の悪役企業(マイケル・ムーアの「ロジャー・アンド・ミー」のアンチ・ヒーロー)とは異なり、モンサントは消費者と直接向かい合う会社ではなく、実際のバイオテクノロジー作業は平均的なにとっては、謎めいている。それにもかかわらずモンサントはどうやっても、政治的な嫌がらせからグローバリゼーションまで人々の間で流行する恐怖を一身に集め、あらゆる人々を激怒させる。なぜなのか

その答えはもちろん複雑なのであるが、多くの専門家、ある導火線となった出来事を指摘しているそれは、90年代後半のヨーロッパでGMO種子が激しく発芽して、忌避できない悪質な戦争に発展したことであるGMOs自体について、良いのか悪いのかというよくある議論は少し脇に置いて欲しい。すると興味深い事実が出てくるほとんどすべての点で優れていると思われ、実際にそうである豊かで強力な企業であったがモンサントにはひとつの重要な側面があった。情報操作である。

 ※モンサントは米国ミズーリ州に本社を持つ多国籍バイオ化学メーカーである。遺伝子組み換え作物の生産の種の世界的なシェアは実に9割。自社製品に除草剤ラウンドアップがある。ラウンドアップ耐性のあるGMOも生産している。

追考「Forks Over Knives」牛乳を飲むと骨がもろくなる?高タンパク低脂肪が前立腺ガンを引き起こす?【食に対する常識を覆し、全米大ヒットを記録した現代人必見のドキュメンタリー映画!】

1940年代から、完全食品として推奨されてきた牛乳。酪農業を営む家で少年時代を送っていたキャンベル博士も、これを当然と信じて疑わなかった。しかしあるとき、動物性タンパク質とガンとの関連に気付いた博士は、どの食物が何の病気の原因となるかを調べる大規模な調査に乗り出す。
一方、外科医としての実績を積んでいたエセルスティン博士は、いくら手術で患者を治しても、これから病気になる患者はけっして減らないという現実にジレンマを抱いていた。
栄養学と外科の世界的権威である、二人の博士が達した結論は―動物と加工食品を食べず、菜食の実践で病は防げるということ。そして多くの生活習慣病を治療することも可能だということ。
両博士の考えにインスパイアされたリー・フルカーソン監督は、膨大なインタビューと科学的検証を通して、“食”の常識に鋭く切り込む。薬漬けの日々を送る男女や、回復が見込めない心疾患だと診断された患者たち。彼らに現れた変化を知った監督は自らも菜食に挑み、驚くべき効果を目の当たりにする!
加工食品に偏った手軽な食生活。食品業界の意向が優先される学校での食事プラン。肉を食べないと力が出ないという思い込みなど、日常に潜む問題点に警鐘を鳴らし、食(フォーク)はメス(ナイフ)を征するという事実を明らかにする問題作である。

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